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原油価格がマイナスへ 景気やガソリン価格への影響は?

新型コロナウイルスの影響で原油需要が急減している中、4月20日の米国市場で、NY原油先物5月限が史上初めてマイナス価格で取引を終えました。

これによりどのような影響が出るのでしょうか?

 

 

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【なぜ原油価格がマイナスになったのか】

先物取引には売買最終日があります。今回急落したNY原油先物5月限は日本時間、4月21日(火)が最後の売買になります。

買い(ロング)のポジションを持っていれば、原油を「実物」で引き取る必要が出てきます。
取引の対象が原油ですから、莫大な量を備蓄する場所が必要です。

 平時であれば、ある程度の余裕があるでしょうが、新型コロナウイルスの影響による、需要の減少の為、各国・各石油会社も原油在庫が増大し、引き受けられるスペースがありません。

その為、売買最終日を前に「お金を払ってでも原油を引き取ってほしい」という状態が起こり、投げ売りが出たものと考えられます。

 これが原油価格「史上初のマイナス」の背景ですが、これは5月限の先物での価格であり、あまり悲観するほどの話ではないという見方につながっています。

 

【景気への影響】

平時であれば、原油価格が下落すれば、その分消費国は得をすることになります。消費国はより安価にエネルギーを入手できるので、投入コストの削減や物価上昇が抑制されることによる需要増加などを通じて、世界経済全体の活性化につながります。

しかし、新型コロナウイルスの影響で、人や物の移動が制限され、工場の稼働が止められている状況では、経済活動そのものが低下している為、需要増加につながらず、原油価格下落の恩恵はあまり望めません。

また、原油を産出する会社の経営が行き詰まること等への不安により、株式市場などに影響を与えるため、急激な価格変動は市場の不安を増大させます。

エネルギー関連企業の破綻懸念が加わったことで、株式市場の大幅な下落に影響したと考えられます。

 

【ガソリン価格への影響】

原油価格の下落の影響で、私たちの暮らしにとって一番身近な部分がガソリン価格だと思いますが、原油価格が急落してもガソリン価格が急激に下がることはありません。
その最大の要因は税金で、ガソリン関係の税金は消費税とは違い、定額の税金が規定されています。

石油会社にとって、負担となっているのが、ガソリン税や石油石炭税等で、ガソリンの小売価格は原油価格の変動に関係なく1リットルあたり最低でも57.36円の税金がかかっています。

小売価格を120円とすれば、約半分が税金となり、その残りの約60円の中から利益を出さないといけない状況なのです。

そう考えると、石油会社も原油の価格に合わせて、小売価格が下げらない事にも納得できます。

 

自粛ムードが世界中に広がる状況では、原油安を良いことと思えず、逆に長引くほど世界の経済を悪くする材料だと考えてしまいがちです。

一般に原油は世界の景気が良いときほど利用が増え、価格は上がりやすくなります。原油安が続く今の状況は世界経済にとって決して良い状態とはいえません。

経済の見通しを立てる為には、原油先物にも注目していく必要がありそうです。

 

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